LOH症候群
LOH症候群とは
LOH症候群とは、いわゆる男性更年期障害のようなもので、男性ホルモンであるテストステロンが低下していることに起因しホルモンバランスが崩れ、様々な症状をきたします。女性の更年期障害は女性ホルモンであるエストロゲンが低下し起こりますが、分泌減少が急激におこるため比較的更年期障害の症状が出やすいといわれております。それに対して男性の場合は基本的には急激な分泌低下は起こりにくいですが、疲労やストレスなど環境の変化などで急激に低下することが起こりえます。まれにテストステロン低下の伴わない男性更年期障害もあるといわれております。
また、近年は生活習慣や環境によってその分泌量が左右されることがわかってきております。例えば、糖尿病や肥満、メタボリック症候群などの生活習慣病とは密接に関連しているといわれており、テストステロンの値が低い人はこれらの病気にかかりやすいともいわれております。
主な症状
倦怠感、めまい、イライラ、睡眠障害、物忘れ、精神不安定、抑うつ、筋肉量の低下、体毛の変化(ひげが薄くなるなど)、勃起不全など多彩な症状があげられます。特にうつ病などと診断されたり、ただの勃起不全と診断されている例もあるといわれております。
検査・診断
LOH症候群は多彩な症状をきたす疾患ですが、たとえば倦怠感を起こす疾患だけをとっても循環器疾患、呼吸器疾患、筋骨格系の整形疾患、代謝・内分泌疾患、血液疾患など分野が多岐にわたります。そのため様々な疾患の除外が必要なため、下記にある検査以外の検査を行ったり、他科の受診をお勧めしたりすることが多くなることと思いますがご了承ください。
1.問診
AMSスコア(男性更年期障害質問票)を利用し問診、診察を行います。
2.血液検査(テストステロン値の測定)
血液検査で男性ホルモン(遊離テストステロン)の値を測定します。採血は午前中に行うことを推奨されています。
治療方法
適応に応じて漢方薬や安定剤の内服治療や、注射による男性ホルモン補充療法などを行います。
1.内服治療
テストステロンが有意に低下していない場合などでは、漢方薬や安定剤などの対症療法を行うことが一般的です。
2.注射治療
テストステロンが低下している場合は男性ホルモン補充療法を行う場合があります。一般的には3週間程度に1回外来で注射による薬物投与を行います。男性ホルモン投与は前立腺肥大症や前立腺癌を悪くする場合があるので、必ず泌尿器科での定期診察が必要です。