尿路悪性腫瘍(膀胱癌・尿管癌・腎盂癌)とは

尿路悪性腫瘍とは、尿の通り道(尿路)に発生する癌の総称で、以下の3つが代表的です:

膀胱癌(ぼうこうがん)
尿管癌(にょうかんがん)
腎盂癌(じんうがん)
これらは、いずれも「移行上皮」から発生する癌であり、「尿路上皮癌」とも呼ばれます。膀胱癌が最も多く、次いで腎盂癌・尿管癌の順です。

主な原因

喫煙(最大のリスク):発癌性物質が尿に排出され、尿路粘膜に長時間接触するため
化学物質への職業暴露:染料、ゴム、石油製品に関わる仕事(ベンジジン、ナフチルアミンなど)
慢性的な尿路感染や結石
鎮痛剤やシクロホスファミド(抗がん剤)の長期使用
年齢・男性に多い
水分摂取量の不足・尿の停滞

検査・診断

超音波検査:腎臓、膀胱に関しては腫瘍を指摘できる場合がある。
尿細胞診検査:尿の中に悪性を疑う所見がないか調べる。
膀胱鏡検査:尿道、膀胱の中側を直接内視鏡で調べる。
逆行性腎盂造影:尿管癌、腎盂癌を疑うときは、造影剤を使って造影剤の欠損像(腫瘍がある場合は造影剤が欠損してみえる)を指摘できる場合がある。
尿管鏡検査:尿管、腎盂内を直性内視鏡で調べる。当院では施行できないため総合病院を紹介します。

① 膀胱癌

最も頻度が高い尿路上皮癌(約70〜80%)
多くは表在性(浅い)腫瘍だが、再発しやすい
進行すると筋層浸潤癌になり、膀胱摘出が必要になることも
当クリニックでは内視鏡検査までを行い、癌の可能性がある方は治療をする段階で総合病院を紹介します。

主な症状:
無症候性血尿(痛みのない血尿)
頻尿、排尿痛、尿意切迫感など

主な治療:
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)
BCG膀胱内注入療法(再発予防)
筋層浸潤例では膀胱全摘+尿路再建手術、抗癌剤治療

② 尿管癌

比較的まれ(腎盂癌と合わせて尿路上皮癌の10%程度)
尿管の狭い部位に腫瘍ができるため、尿閉や水腎症を引き起こすこともある
当クリニックでは超音波検査、尿細胞診などで癌の可能性がある方は総合病院を紹介します。

主な症状:
血尿
側腹部や背中の痛み(尿の流れが滞るため)

主な治療:
腎尿管全摘除術(腎臓・尿管・膀胱の一部を一括で切除)
抗癌剤・免疫チェックポイント阻害薬など

③ 腎盂癌

腎臓の中で尿が集まる「腎盂」に発生する癌
症状や治療法は尿管癌とほぼ共通
当クリニックでは超音波検査、尿細胞診などで癌の可能性がある方は総合病院を紹介します。

予後・注意点

表在性膀胱癌は再発しやすいため、長期の経過観察が必要
上部尿路癌は進行しやすい傾向があり、早期診断が重要
再発や多発する可能性があるため、尿路全体の継続的な検査が不可欠